行知学園日本語教師養成講座

生方 哲男さんにインタビュー!経験こそが日本語教師の武器になる

更新日:2025/11/26

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生方 哲男さん

生方 哲男さん カナン東京日本語学校 副校長
大学院で言語学を専攻し、在学中に日本語教師の資格に関心を持つ。大学院修了後、民間の日本語教師養成講座(420時間)を修了し、日本語学校でキャリアをスタート。
主な指導実績: 早稲田大学大学院日本語教育研究科センターインストラクター、韓国領事館、米国国務省日本語研修所などで指導。企業研修では、海外の大使館員やビジネスパーソンなど多様な層を指導した実績を持つ。
教師養成実績: 日本語教師養成講座の主任として20年以上にわたり理論科目(専門は音声学)や実技を担当し、指導者を育成。現在はカナン東京日本語学校の副校長として、後進の育成にあたっている。


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インタビューに答える生方 哲男さん

1 日本語教師市場の「今」

私が日本語教師の仕事を始めたのは25年ほど前ですが、当時と比べて日本語を学ぶ外国人の方は、非常に増加しているというのが実感です。当時は日本語学校でしか教える場がありませんでしたが、今は専門学校や、大学、さらに地域のボランティアやオンラインレッスンなど、日本語教育の場がどんどん拡大しています。

また、日本在住の外国人も増えており、海外の学習者を合わせると700万人規模の人が日本語を学んでいるとしてもおかしくない状況です。これに対して、日本語教師の数は5万人未満と全く足りていません。単純計算で一人が100人以上を見なければならない状況で、まさに「需要が高まっている市場」といえるでしょう。大人の学習者だけでなく、公立の小中学校にも日本語指導が必要な子どもたちが7万人ほどいるなど、日本語教師の需要は非常に多様化しています。

インタビューに答える生方 哲男さん

2 偶然の出会いがキャリアの出発点に

私自身、最初から日本語教師を目指していたわけではありませんでした。大学院では言語学の分野を研究していたんです。

転機が訪れたのは、博士課程にいた中国の方から、日本語で発表する際の文章の「ネイティブチェックをしてほしい」と頼まれたことです。博士課程まで進むほど日本語の会話が堪能な人でも、文章となるとやはり間違いが起こる。そのとき初めて、「日本語を教える」という仕事があるのだと知り、とても驚きました。

いざ蓋を開けてみると、それが職業になるということに、改めて驚き、強い興味を持ちました。そこで一旦大学院を出た後、日本語教師養成講座に通い、資格を取得して日本語教師としてのキャリアをスタートさせました。

インタビューに答える生方 哲男さん

3 挫折を乗り越えた「3年目の転機」

初めて働いた日本語学校は非常に良い学校でしたが、新人の私は「自分の実力が足りないばかりに、学生たちに申し訳ない」と思うことが多く、「私で彼らを育てられるのだろうか」という不安でいっぱいでした。当時の教務主任の先生からもらったアドバイスは、最初意味が分からず、正直理解に苦しむことも多々ありました。

日本語教師として自信を持てるようになったのは、3年目ぐらいのことでした。

中級クラスで文法を教えていたとき、他のクラスからは学生たちの楽しそうな笑い声が聞こえてくるのに、私のクラスの学生は眉間にしわを寄せて難しそうにしていました。「このままではまずい」と感じ、指導法を工夫しました。

そんなある日、学生がふと「先生、そこわかりました」と言ってくれたのです。さらに驚いたことに、その学生たちが他のクラスで悩んでいる学生たちを呼んできて、「この先生だとわかるよ」と紹介してくれた。彼らが「なるほど」と理解してくれた瞬間に、「自分にもうまくできるんだ」と感じ、ささやかな自信がつきました。「じゃあ、辞めなくてもいいかな」と、ようやく日本語教師一本で進む覚悟ができた瞬間でした。

4 国家資格化で変わったこと

日本語教師の資格は2024年に、国家資格になりました。

やはり「国家資格」という単語の力で、多くの方に注目してもらえるようになったと思います。今は、国家資格の職業として、最初から目指して養成講座にお申し込みいただく方が増加しています。

特に今、顕著なのはセカンドキャリアとして日本語教師を選んでくださる方々です。私は、そういう方々が今までの知識や経験を活かして、いい先生になっていけると思っています。

声を大にして言いたいのは、

「ご自身の過去は裏切らない」

日本語学校に来る学生は10代から30代が中心ですが、日本語を学ぶ人の中には70代の人もいます。教師側も幅広い年齢層で構成されることで、学生たちは同年代の先生には友達のように、年上の先生には敬意を持ちながら接するなど、多様な人間関係の中で、日本の年齢社会における距離の縮め方や上下関係を学ぶ機会を得ています。

インタビューに答える生方 哲男さん

5 日本語教師の仕事は「失敗を笑って立ち向かえる人」へ

日本語教師の仕事はどんな人に向いているか?と聞かれたら、私はこう答えます。

「失敗して、それに対して笑って立ち向かえる方」

教えるということは本当に難しいです。自分が思っていることをそのまま伝えただけではダメで、学生一人ひとりの受け取り方に合わせ、資料や話の構成を工夫する必要があります。その中でミスは起こりますが、それを全て自分で背負ってしまうと続けていけません。「失敗してしまったな」ぐらいの気持ちで次に進める人が、長く活躍できるでしょう。

日本語教師は本当に幅広くいろんな方に出会えると思います。私の場合、子どもから一番上は70代の方まで教えましたが、こんなに幅広い年代の方に教えられる仕事は他にないかと思います。場所で言うと、領事館のようなところや大学で教えたこともあり、オンラインでは海外の方と教え合うなど、世代も空間も飛び越えて教えられるという楽しみがあります。

自分が外国語を学んでいるときに「できると楽しい」と感じたように、学習者が「わかった」という顔をしてくれる瞬間が、私は非常に嬉しいです。その瞬間こそが、この仕事の大きなやりがいだと感じています。

6 カナン東京日本語学校が目指す「自立学習」

私が副校長を務めるカナン東京日本語学校は、今学生が約300人いて、いろんな国から来ています。私たちが目指すところは、学生の自主自立です。

学生たちが自立学習をし、カナン卒業後も、日本語を使うことによって、自分が目指すより良いゴールに辿りつけるよう、教育しています。具体的には、対話力や思考力、社会的スキルを伸ばすことを心掛けています。

インタビューに答える生方 哲男さん

7 日本語教師を目指す方へ

私自身、全く何も知らないところからこの業界に飛び込みましたが、今ものすごく楽しくやっています。

日本語というものには、文化や歴史といった奥行きがあり、教師はそれらを丸ごと伝える役割を担っています。もちろん、教えることは難しく、つまずくこともあるでしょう。そんな時も、「ちょっと失敗しちゃったけど、でもさ、面白いでしょ」と、学生とやり取りができるような、楽しむ姿勢が大切です。

ぜひ、何も知らないところからでも日本語業界に飛び込んできて、一緒に楽しんで、この業界を盛り上げていきましょう。

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