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日本語教師の養成講座体験記 第6回
420時間日本語教師養成講座を1年かけて修了。1年の振り返り

更新日:2023/10/12

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日本語教師の養成講座体験記 第6回420時間日本語教師養成講座を1年かけて修了。1年の振り返り 

4月から日本語教師養成講座を受講中の島津さん(仮名)に、講座で学ぶ内容や学校生活などのお話を伺う、養成講座体験記の第6回。養成講座でどんなことを学べるのか、学校の様子がどんなものなのか、日本語教師養成講座の体験談を密着取材していきます。
今回はいよいよ最終回!日本語教師養成講座を通して何を得てどんな成長を遂げたのでしょうか。

日本語教師に興味があるという方必見の体験記です。

島津さん

島津 綾さん 日本語教師を志す、20代前半の女性。
現在は東京近郊にひとり暮らし。
仕事をしながら資格取得を目指すため、土曜日コースを選択。1年かけて修了を目指す。好きなものは歴史。


修了試験と修了式

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編集部(以下、編集): まずは、講座の修了おめでとうございます。
修了式というか、卒業式みたいなものってありましたか?

島津さん(以下、島津): 修了式がありました。あっさり終わるのかと思ってたんですけど、結構泣いていらっしゃる方も多くて、感動的な式になりました。
服装も、スーツのようなちゃんとした格好で来る人が多かったです。

編集: どんな修了式でしたか?

島津: いつもの教室で、先生がひとりひとりに修了証書を手渡して、みなさん証書をもらってから、ひとりずつ1年を振り返るようなスピーチをしました。本当に濃い1年だったので、こみ上げるものがありましたね。
写真を見るとわかると思いますが、本当に「卒業式」って感じですね。

編集: 集合写真をみてみると、みなさんスーツで、どっちが先生で生徒なのか区別がつかないですね。

島津: 本当にいろんな方がいらっしゃいました。
大学で教えている方、大学に通う学生さん、日本語教師として既に働いている方、普段は別の仕事をしているけど日本語教師を目指している方…。年齢もさまざまな人たちとクラスメイトになって、授業を受けたりグループワークしたりする経験はいままでなかったので新鮮でした。

編集: 既に日本語教師として働いている方もいたんですね。

島津: そうなんです。というのも、去年(2017年)、告示校(※)の教員条件が変更になったので、かつてe-ラーニングなどの通信教育で日本語教師養成講座を受講した人たちは、教員条件を満たせなくなってしまったんです。

これから日本語教師になりたいという人は、大学・大学院で日本語教師養成課程を修了、大学を卒業の上文化庁に届出受理されている講座の修了、日本語教育能力検定試験に合格、の3つのうちどれかに当てはまっていることが条件となりました。通信講座はほとんど受理されていないので、教員資格を満たせる「文化庁受理講座」の修了資格を、もう一度取得しないといけない人が出てきたんだと思います。

※告示校
法務省により日本語教育機関として告示されている学校のこと。
入国管理法により、留学生を受け入れることができる日本語教育機関は、法務省の入国管理局の定める「告示基準」を満たさないといけない。日本語教育機関の告示基準が2017年8月より施行され、告示校の教員条件が変更になった。

詳しくは「文化庁届出受理校とは??」をご参照ください

編集: 修了式には、土曜コースの人全員出席したんですか?

島津: 修了証書を手にしたのは、もちろん修了試験を終え、卒業を選択した人達です。クラスメイトの多くが来ていました。

編集: 修了試験は難しかったですか?

島津: 難しかったというより、試験範囲が広く、なかなかのボリュームでした。

日本語教育能力検定試験と比較すると、やはり検定試験の方が難しかったと思います。もともと検定試験の勉強を頑張っていたので、卒業試験の勉強も基本的には検定試験の問題を解いて練習していました。検定試験の勉強が、結果的に修了試験でも役に立ちました。日ごろからこつこつ勉強しておいてよかったなと思います。

編集: 勝手ながら、修了試験はもっと簡単なものだと思っていたので意外です!

島津: 意図的に修了しなかった人たちもいましたね。さきほど言ったように、今年修了せずに翌年また受講しようという人たちです。土曜コースの人は働きながら受講している人が多いので、もう少し時間をかけてしっかり学びたいとか、あとは就職活動をしながらもう1年通ってみるとか。そういう人たちは多くないですが、いらっしゃいます。

日本語教師の就職活動がうまくできなかった理由は、就活を始めるのが少しだけ遅れてしまって、結果的に実習と重なって思うように活動できなくなってしまったようです。私の場合、年末や1月から早めに動いていたので、最終的にはよかったなと思います。

編集: 修了試験は筆記のほかに実技もあったんですよね?

島津: はい、実習が終わってすぐに実技試験でした。実習、実技試験、筆記試験と続いたので、講座の終盤は本当に忙しかったです。

学校によって形式は多少異なると思いますけど、実技試験では、ひとりずつテーマが与えられ、1人10分程度の時間で教官を前に授業を行いました。

筆記試験も範囲が広くて勉強が大変というのはありますけど、基本的には授業で習ったことをしっかり理解していれば答えられる内容なので、極端に大変な試験ということではないですね。今回は日本語史の問題が出たんですけど、用語とか人物名とかが出てくるので、やはり復習が大事だと思いました。

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実習をしてみないとわからないことはたくさんある

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編集: 修了試験からさかのぼりますが、教壇実習はどうでしたか?

島津: 中級者向けの教壇実習があったんですが、グループの中で選ばれた人が教壇に立つというものでした。 それまでは初級者向けの授業をしていましたが、中級者はレベルが全然違うので教える内容も全く異なります。授業を考えるのも、準備をするのも大変でした。

大変でしたけど、実習で得たものは今までの価値観が変わるくらい大きなものでした。

編集: 実習で得たものはどんなことですか?

島津: たとえば、テクニカルなものでは、人にものを教えるときに、対話式で学ぶスタイルが良いということ。 おそらく、ほとんどの日本の教育環境では、先生が一方的に話して、問題を解いて終わるという形が多かったと思うんですよ。

対話式の授業はインターアクションが重要だと感じました。インターアクションとは、教師と生徒、生徒と生徒の間でやり取りをすることです。生徒に疑問を投げかけたら、先生は直接答えは言わず、インターアクションを通し理解を深めることが大切だと思いました。生徒に一方的に投げかけるだけでは、生徒の方は納得できないまま終わってしまいます。先生・生徒の双方向からやり取りを重ねることで生徒は理解を深めることができるという考えが元になっています。

教育法などを通して、知識として「対話をしながら授業をすることが大事」というのはわかっているんですけど、実際に実習で教壇に立つと一方的に話してしまって、実践が意外と難しいなと身に染みました。

それから、内面的にも少し変化がありました。
それまでは、先生になったら、生徒の日本文化に対する興味関心を育てたいという想いが強かったんですが、今は、生徒の生活にすぐ役立つ日本語をたくさん教えたいと思うようになりました。日本語を学習する人たちは、日本が好きとか興味があってくる人はもちろん多いですけど、それだけがすべてではないということを、実習を通して改めて感じました。生徒の中には、大学に進学するためとか、家族の事情とか、日本が好きとは別の事情で来る人も少なくないです。

外国から日本に来た人は、まず日常でよく使う日本語を学ばなければいけないですよね。それを導いてあげるのが日本語教師の役割だと思うんです。「これから教える文型は生活の中でこんな風に使えるよ」、というように導入してあげると生徒たちもすぐ使えるようになるし、よく理解してくれます。日本文化に興味関心を持ってもらうのが一番ではなく、まずは生徒の生活がより豊かになるような日本語を教えたい。その上で日本文化に興味を持ってくれれば尚良いな、という風に考えが変わりました。

慣れない外国、日本という国で生活を送る生徒たちが、十分に暮らしていけるようにサポートしてあげたいと思います。ある意味、以前よりもっと生徒のことを考えられるようになったと思います。生徒の目線で考えられるようになったというか。

編集: きっかけがあったんですか?

島津: 実習中に先生から受けた言葉なんですけど、「その授業は島津さんの自己満足ですか」と言われたことがあって、その時にハッと気づいたんですよね。「それは生徒にとって役に立ちますか」って言われて、先生のご指摘通り自分が教えたいことを押し付けていたかもしれない、と。生徒の立場に立って、必要とされるものを提供できないといけないな、と目が覚めました。

それから、「先生だから」って気負いしすぎないことも学びました。それまでの感覚だと、「先生」=前に立って話す人という想いが強かったんですけど、いまは、生徒の成長を促進しながら自分も勉強頑張ろうって。生徒と一緒に成長していこうって思えます。4月からは、より生徒の側に寄り添っていける先生を心がけたいです。

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お仕事選びは、自分で「優先順位」を決めること

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編集: ちょうど就業のお話がでましたが、お仕事決まりましたか?

島津: はい!おかげさまで、4月から希望していた学校で働くことに決まりました。

編集: それはおめでとうございます! 島津さんのように、養成講座の修了後、日本語教師になる人は結構いるんですか?

島津: 土曜コースだと、仕事をしながら受講している人がほとんどです。それも関係あるのか、4月から日本語教師になるという人は、20〜30人くらいいるクラスメイトのうち、10人未満という感じです。

編集: なるほど。今の仕事の目処が立ってから就活、と考えている人もいるかもしれませんね。 では、就職活動はどんなことをしましたか?

島津: 求人情報の探し方としては、日本語教師専門の求人サイトを中心に、求人情報をチェックするのが主な方法でした。

でも一番効果的だったのは、説明会に参加したことですね。合同説明会に参加したんですが、いろんな学校の担当者と直接話すことができたので、「この学校は自分と合うな」とか「合わないな」とかを肌で感じることができてよかったです。学校HPをみながら、合同説明会があれば参加して、自分とその学校が合うなと感じれば、自分が就業先として求める条件を比較してみて、採用試験に挑むというのがいいんじゃないかな、と思います。

編集: 候補の学校がたくさんあったかと思いますが、どうやって選んでいきましたか?

島津: そうですね、今は日本語教師不足ですので、たくさんの求人情報が出てきます。どの学校に決めていくか、どうやって的を絞っていくかというのは、自分の中で優先順位を持つといいのでは、と思いました。

わたしの優先順位は、一人暮らしというのもありますので、安定した収入が一番です。だから、非常勤からのスタートでも専任になれるのができるだけ早いとか、そういう実績がある学校をメインに探しました。

それから、私は学校の生徒に対する姿勢も重要視しているので、説明会でいろんな先生と直接話をして、どんな方針なのか聞いてみました。これは、求人情報とかHPとかでは知ることができない、学校の雰囲気を感じることができる良い機会です。

実際に学校の人と話してみると、紙面を読んで感じた印象と全然違うことがありました。言葉にするのは難しいんですけど、お話を伺う中でなんとなくゆったりした空気を感じて「この学校は自分とは合わないな」、ということも感じることができるんですよね。

編集: 今回のお仕事決定のポイントはどこだったのでしょうか。

島津: 研修があるということですね。最初からいきなり教壇に立つより、ある程度研修でサポートしてもらえる方が心強いので。聴いた話ですが、学校によっては教員未経験の先生でも、研修なしで初日から教壇に立つこともあるらしいので、教員のサポートをしっかりしてくれるところはいいと思います。これからお世話になる学校では研修がしっかりしているので、ビシバシ鍛えてもらいたいなという期待もあります。

編集: 採用面接ではどんなことを聞かれましたか?

島津: 一般企業の採用面接同様、なぜ日本語教師を目指すのか、などを聞かれました。他の人の話を聞いてみても、今までの経歴からなぜ日本語教師を選んだのか、志望動機は聞かれていたようです。

わたしの場合は、研修を始めるとしたらいつから参加できるか、というような具体的な話もありました。

編集: 研修から始まるんですね

島津: はい、本格的に授業を始める前に研修があります。 実習中にはいろんなフィードバックもありましたが、「私ならだれよりも楽しい授業できる!」と信じて頑張りたいです。

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大変なことも、素晴らしい経験もあった1年

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編集: 養成講座はこれで修了ですが、1年を振り返ってみてどうでしたか?

島津: 土曜日に仕事が入ってしまったこともあり、DVD補講に出席したり、実習の準備のために、1月からはほとんど毎日学校に通いました。実習で教壇に立つまでは、2時間くらい教室を借りて練習しましたね。

1年で養成講座を修了しましたが、これは自分でもすごいことだな、と思います。終わってみて思うことですが、大変だったけどやろうと思えばやれないことではないということですね。めまぐるしくて、自分が頑張ったのか頑張ってないのかもわからない、って感じですけど。

編集: 1年前の自分と比べてみてどうですか?なにか変わったことってありますか?

島津: 講座を通して、自分が一番成長したなと思うのは、メンタル面ですね。
私が実習で授業をしたとき、生徒も盛り上がって喜んでくれて、生徒からのアンケート結果でも高い満足率でした。自分自身も満足感を得て、とても嬉しかったです。でも、授業後の評価では、自分でも気づいていなかったいろんな点を先生からご指摘頂きました。その中でも、周りの生徒も固まってしまうくらい厳しい言葉があったんですが、それを聞いてわたしの中に湧き上がったのは、「見返してやるぞ!」という気持ちです。

少し前のわたしであれば、もっと簡単にシュンとなって「やっぱり日本語教師に向いてなかったんだな」って落ち込んでしまったと思うんですよね。結果的には、メンタル面がかなり鍛えられたと思います。 あと、こういう厳しい評価を頂いても頑張ろうと思えるくらい、日本語の世界って面白くて魅力的だということを知ることができたのも、講座で得た財産ですね。

編集: 日本語って奥深いんですね。

島津: そうですね、日本語の世界は想像していたより圧倒的に難しいですが、学べば学ぶほど面白みがでてきて奥深いです。
日本語教師は専門職ですが、それでも講座を始めた当初は、「日本人だから練習すれば簡単に日本語を教えられる」という考えが少なからずありました。ですが、それは大きな勘違いだと、講座を通して学びましたね。気づくことができて本当によかったです。

日本で日本語を教える場合、日本語で日本語を教える「直説法」で行うので、言葉選びも気を付けなくてはいけません。学習者のわからないことを、わからない言葉で説明しても、困ってしまいます。ですから、生徒がすでに学習した言葉、既習語を用いて説明することを心がけます。生徒の中で納得できて初めて「教えた」と言えると思います。

編集: 日本語教師になるための、さまざまな経験を積めたようですね。

島津: 4月の時点では、自分が教壇に立って終わりってことしか考えられませんでしたが、実際の日本語教師の仕事ってただ日本語を教えるだけではなくて、生徒のためになること、生活が豊かになることまで幅広い視点を持つべきですよね。自分の授業が生徒にどう影響があるのか考えられるようになったのは大きな成長だと思います。島津さんの授業を受けてよかったって言ってもらえるように努力したいと思います。

編集: これから日本語教師を目指す人、迷っている人に伝えたいことはありますか?

島津: 私自身、本当に1年間頑張って通ってよかったな、と今思っています。就職でどうしようか迷っていたときもありましたが、今の結果に満足しています。

1年前の私のように、日本語教師を目指したいけど躊躇っている人がいるなら、是非背中を押してあげたいです。経済的な負担が大きいというのであれば教育給付金がありますし、学校によってはいろんな割引制度を行っているところもあります。友達紹介や、早割とか、使えるものは全部使って。特に若い人は、諦めずにぜひチャレンジしてほしいと思います。

編集後記 日本語教師として必要な知識は、それまでの授業や試験などを通し吸収できますが、教壇実習は実践演習。想像でななくリアルな留学生を目の前にして学ぶことはたくさんあったようです。そんな現実を目の当たりにして、より生徒の目線に立ち、生徒の生活を豊かにできるような授業ができるようになりたい、という新しい視点で目標を持つことができました。

修了試験は、1年間学んだ日本語教師養成講座の集大成。一旦教壇実習が始まると、実習の準備がメインになるので勉強時間の確保が難しくなります。また、広大な範囲の試験になるため、日ごろから復習などして、コツコツ勉強することが重要です。

就職活動では、自分自身で求人情報を探したり、希望の学校の説明会を受けたりするのは、もちろん重要ですが、どんな学校に就職したいのか、自分の中で優先順位や基準を作るといいでしょう。
長く働くことを考えるならば、研修制度や雇用形態などを重視するのもいいでしょう。しかし、最終的にはその学校で自分が働くイメージが抱けるか、学校の雰囲気と自分があっているかなども大切です。

日本語教師は現在、求人数が増加している職種です。日本語教師を目指そうか迷っている方は、一度体験入学などで試してみてもいいでしょう。420時間の日本語教師養成講座は、教育給付金の対象となっている講座も多いので、気になる学校があれば確認してみるのもいいでしょう。

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