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全養協日本語教師検定とは?日本語教育能力検定試験とどのように違うの?

更新日:2024/03/19

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全養協日本語教師検定とは?日本語教育能力検定試験とどのように違うの?
Mikuさん

この記事を書いたのは

Miku
日本語教師養成課程で資格を取得し、日本語の指導歴は7年目。
学生時代はイギリスへの交換留学の経験もあり、卒業後は日本語教師として働きながら、フランスでワーキングホリデー留学と語学留学を経験。
現在はマルタ島在住で主にフリーランスで活動する傍ら、「日本語教師ナビ」のライターを務める。


「全養協日本語教師検定って?」
「自分は、全養協日本語教師検定の合格を目指した方がいいのかな?」

このように悩んでいる方のために、今回は、日本語教師歴7年目の私が、全養協日本語教師検定の概要と、日本語教育能力検定試験との違いについて解説します。

結論は、全養協日本語教師検定に合格すると、日本語教師としての実践力があることの証明にはなるものの、法務省告示校で勤務が可能な要件を満たすことはできません。キャリアアップの1つとして、合格を目指すとよさそうです。です。

全養協日本語教師検定とは?

まずは、全養協日本語教師検定とはどのようなものか、解説します。

日本語教師の実践力を測定する検定

全養協日本語教師検定とは、全養協が2006年から運営している検定試験です。
全養協日本語教師検定は、実際の日本語教育の現場で求められる知識・スキルに焦点をあて、日本語教師の実践力を測定します。

例えば、日本語を教える上での文法知識があるかどうか、日本語の授業の問題点を把握し、改善できるかどうかなどが問われます。
日本語教育についての知識を、教育現場でどのように活用するかを、答えなければならない問題が多く出題されるので、単なる知識の丸暗記では対応できません。

そのため、全養協日本語教師検定に合格すると、日本語教師としての実践的スキルがあることを証明できます。

全養協とは

全養協(一般社団法人全国日本語教師養成協議会)は、2001年4月に、日本語教師養成講座を運営する教育機関によって、設立されました。
現在では、アークアカデミーや東京中央日本語学院などの大手スクールをはじめ、18の機関が加盟しています。

全養協の設立目的は、日本語教師養成講座・日本語教師の質の向上をすることと、日本語教育へ貢献することです。
日本では、深刻な少子高齢化に伴い、留学生や外国人労働者の受け入れが積極的に行われており、より多様な学習者に対応できる日本語教師の需要が高まっています。

そのような社会の動きに対応するため、日本語教師の求人の公開・日本語教師養成講座の情報提供・日本語教育に関するセミナーの開催など、全養協は日本語教育におけるさまざまな支援事業を行っています。

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全養協日本語教師検定の試験内容

つぎに、全養協日本語教師検定の内容について、簡単にご説明します。

試験の概要

全養協日本語教師検定は、毎年1回のみの実施となっており、東京や大阪など、主に全国の主要都市で開催されます。
試験では、以下のような項目が測定されます。

  • ・ 専門的能力(文法や教授法などの知識・分析力・実践力)
  • ・ 指導能力
  • ・ 学習者への対応能力
  • ・ フィードバック能力
  • ・ パフォーマンス能力(教室の雰囲気作りなど)
  • ・ 自己成長能力

参考元 全養協「第17回全養協日本語教師検定 実施要項」

試験の形式は、マークシート選択式の「試験I」と、記述式の「試験II」の、大きく2つに分かれています。

試験Iの内容

試験Iはマークシート選択式で、72問を90分で解答していきます。 試験問題は、以下のような内容から出題されます。

  • ・ 日本語の文法・語彙・発音
  • ・ 日本語の教授法
  • ・ 授業の展開方法

参考元 全養協「全養協日本語教師検定」

試験Iは日本語教育の現場で必要とされる実践的な知識が、どのくらいあるのかを測る客観的な試験となっています。

試験IIの内容

試験IIは記述式で、4問(記述問題は6箇所)を70分で解答していきます。

試験IIでは、授業の前提条件と教案が提示された後に、初級・中上級レベルの学習者を対象とした日本語の授業の映像を見て、教案や教え方についての問題点・改善点を記述します。
試験Iとは異なり、試験IIは実践的な教授スキルを測定する、主観的な試験となっています。

参考元 全養協「全養協日本語教師検定」

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全養協日本語教師検定の合格率と合格基準

こちらでは、全養協日本語教師検定の合格率と合格基準について、解説します。

合格率はおよそ74%

過去の実施結果概要をもとに、全養協日本語教師検定の合格率を算出してみると、2018〜2023年(2022年はデータなし)に実施された過去5回分の平均合格率は、74%でした。
年別の合格率は、以下の通りです。

2018年 82%
2019年 65%
2020年 81%
2021年 75%
2023年 68%

※合格率=合格者数÷受験者数、合格率の平均=合格率合計÷年数で計算。小数点以下は切り捨て。

参考元 全養協「全養協日本語教師検定 過去の実施結果概要」

合格基準は総合得点で60%以上

全養協が公式WEBサイトで公表している全養協日本語教師検定の合格基準は、総合得点で60%以上です。
得点によって以下のように、A〜D判定までの4つに分けられます。

A判定 80%以上
B判定 70〜79%
C判定 60〜69%
D判定(不合格) 60%未満

参考元 全養協「全養協日本語教師検定」

全養協日本語教師検定は決して簡単な試験ではありませんが、しっかりと準備をして受験すれば、比較的合格しやすい試験といえるでしょう。

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全養協日本語教師検定の受験データ

こちらでは、全養協日本語教師検定の過去の実施結果概要に記載されている受験データを、分析してまとめてみました。

2020年以降の受験者の特徴

全養協日本語教師検定の実施結果概要によると、2020年以降の受験者には、以下のような特徴があります。

  • ・ 受験者数は毎年100人前後(2023年は48人)
  • ・ 60〜70%が女性で、男性は少なめ
  • ・ 約半数は20〜30代
  • ・ 最も多い受験者の職業は学校教員で20〜30%、つぎに学生で約20%
  • ・ 半数以上が日本語教師として教えた経験がある(大多数が1年以上)

参考元 全養協「全養協日本語教師検定 過去の実施結果概要」

興味深いことに、2020年以降のどの開催年も、受験者の半数以上が日本語教師の経験があると回答しており、そのような状況が、合格率の高さに繋がっているともいえそうです。

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日本語教育能力検定試験との違い

日本語教師の能力を測る試験は、主に「全養協日本語教師検定」と「日本語教育能力検定試験」の2つがあり、どちらも日本語教育関連の機関で広く利用されています。
以下では、全養協日本語教師検定と、日本語教育能力検定試験の違いについて、ご説明します。

全養協日本語教師検定は教育現場で必要な知識・スキルが問われる

全養協日本語教師検定は、日本語の授業や、日本語教師養成講座の教育実習の授業を、実際に担当した講師からの情報や、日本語教師の実践力についての先行研究をベースに、試験問題が作成されるので、実践的な日本語教授に必要な知識・スキルが問われます。

一方で、日本語教育能力検定試験は、日本語文法や教授法などの教育現場で必要な知識の他、日本語教育の歴史や異文化コミュニケーションなど、日本語教育についての幅広い知識が問われます。

全養協日本語教師検定の試験IIような、記述式の問題も少し出題されますが、基本的には日本語教育についての総合的な知識及びスキルを、客観的に測る試験となっています。

全養協日本語教師検定の過去問は非公開

日本語教育能力検定試験は、過去問を入手しやすいですが、全養協日本語教師検定は、過去問を原則非公開としており、WEBサイト上でも公開していません。
その理由は、全養協日本語教師検定の問題と解答のマニュアル化を防ぎ、日本語教師の自己成長を促すためです。

しかし、近年では、過去問を公開することで、日本語教師が自ら成長できる場合もあるという議論がされ、検定1回分の解説付きの問題集を販売したり、過去問を使用したワークショップを行ったりしています。

全養協日本語教師検定は資格として使えない

現時点では、日本語教師には国家資格がないため、民間資格が利用されていますが、全養協日本語教師検定は、「自己啓発的な試験」と評価されており、正式な民間資格として使うことはできません

その一方で、日本語教育能力検定試験は民間資格として認められているので、法務省告示校においても、日本語教師の資格として提示することが可能です。

日本語教師に必要な民間資格についての詳細は、『日本語教師になるには?』で説明しています。

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全養協日本語教師検定を受けるべき人はどんな人?

ここまでで解説した全養協日本語教師検定の概要を踏まえると、全養協日本語教師検定を受けるべき人は、以下のような人だといえそうです。

日本語教師の実務経験がある人

全養協日本語教師検定は、日本語の教室活動で必要とされる実践力を測るものなので、日本語教師の実務経験がある人だと、高得点を取りやすいです。

前述したように、実際に日本語教師として教えた経験のある受験者は、全体の半数以上を占めており、ステップアップとして臨んでいる受験者が多いと考えられます。

全養協日本語教師検定に合格すると、日本語の授業の指導力が高いことを証明することができるので、他の教師と差をつけられます。

日本語教師として+αの資格を取得したい人

すでに、日本語教師としての民間資格を取得していて、+αの資格を取得したい人は、全養協日本語教師検定を受けた方がよさそうです。
全養協日本語教師検定は、まだ運営の歴史が浅く、受験者も少ないですが、日本語教師の需要の増加に伴い、試験の認知度が高まっています。

日本語学校によっては、採用や昇給の条件としている場合もあるので、全養協日本語教師検定へ合格しておくと、日本語教師として教育現場で高い評価を受けられるはずです。

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全養協日本語教師検定の対策ができる都内のスクール

全養協日本語教師検定の対策ができるスクールは、実はあまり多くありません。
以下では、全養協日本語教師検定の対策ができる都内のスクールを、2つご紹介します。

千駄ヶ谷日本語教育研究所

1975年に日本語学校として設立、翌年に日本語教師養成講座が開設されてから、長い歴史と伝統を誇るスクールです。
養成講座の修了生は、累計1万人以上と、豊富な実績もあります。

千駄ヶ谷日本語教育研究所のカリキュラムは、全養協日本語教師検定の出題範囲を網羅しているため、日本語教師としてのスキルを身につけながら、試験対策をすることができます。

<高田馬場校の受講料>

420時間総合課程 528,000円(税込)
420時間eラーニング+通学コース 462,000円(税込)

>>「千駄ヶ谷日本語教育研究所」のスクール紹介ページ

行知学園

行知学園は、中国資本のスクールで、日本語教師養成講座や日本語学校の運営だけではなく、留学生を対象とした進学予備校事業も行っています。

行知学園の日本語教師養成講座は、基礎から応用までの幅広い内容を学べる上に、全養協日本語教師検定の対策にも対応しています。
また、教育実習は200時間以上設けられ、初級から中上級までの多様な学習者を対象に、模擬授業をすることができます。

<受講料>

日本語教師養成講座 400,000円(税込)

>>「行知学園」のスクール紹介ページ

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どちらを受験すべきか迷ったら

日本語教育能力検定試験と、全養協日本語教師検定の受験で迷っている方は、まずは日本語教育能力検定試験の合格を目指した方がよいでしょう

なぜなら、日本語教育能力検定試験の方が、日本語教師の正式な資格として使うことができ、就職に直結するからです。
日本語教育能力検定試験は、過去問も問題集も充実しているので、独学でも取り組みやすいです。

また、スクールで試験対策講座を受講することもでき、通信講座だと10万円以下でリーズナブルに学べるコースもあるので、おすすめです。

まとめ

今回は、全養協日本語教師検定についてと、日本語教育能力検定試験との違いをお伝えしました。

全養協日本語教師検定は、実際の教育現場で求められる実践的な知識・スキルを測る試験なので、合格すると日本語教師としての実力を証明することができて、就職や昇給で有利になります。

しかしながら、法務省告示校で働く場合、全養協日本語教師検定は正式な資格として認められないため、これから試験対策をする方は、日本語教育能力検定試験の合格を優先した方がいいかもしれません。

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