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日本語教師の「きつい」「薄給」イメージは過去のもの?現状を知る。

更新日:2019/07/23

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日本語教師の仕事というと、とてもやりがいのある尊い仕事という印象がありますが、残念ながら、日本語教師の仕事をインターネットで検索すると、「きつい」「つらい」「薄給」などブラックなワードが目につきます。

このネガティブな内容を大きく分けると、「給料が低い」、「未経験では仕事が見つからない」、「仕事がきつい」、といったことがあげられます。

インターネットで多く見かける、このような日本語教師にまつわるネガティブなイメージは、一体どこまでが本当なのでしょうか。

日本語教師業界に詳しい関係者に直接これらの疑問をぶつけてみました。

関先生

関大輔 先生 KEC日本語学院で日本語教師養成講座を受講後、関西の日本語学校で10年以上活躍。その後、日本語教師養成講座の実践演習の講師としてKECの一員に。
現在はKEC日本語学院新宿校で所長を務める。


日本語教師の仕事と働き方

そもそも日本語教師は、どんなところでどのような形態で働きますか?どんな種類の仕事がありますか?

関先生

関先生:
まず、日本語教師のメインの働き方として、「告示校」と呼ばれる日本国内の日本語学校で働く、というのがあります。日本語学校の中で先生をするというと、主任講師、専任(常勤)講師、非常勤講師という3つのポジションがありますが、主任講師に関しては、専任の経験が3年以上ないとなれなません。ですから、最初は非常勤講師、もしくは専任講師という2択になると思います。

日本語学校以外に最近増えているのは、プライベートレッスンやグループレッスンです。日本で働く外国のビジネスマン、もしくはそのご家族やお子さんに対して、マンツーマンやグループレッスンで日本語を教えていくお仕事。これも首都圏とか関西とかでは結構増えてきています。プライベートレッスン、グループレッスンというのは告示校にはあまりないお仕事です。

あとは、技能実習生や研修生の指導・研修もメインどころのお仕事です。技能実習生とは、介護・農業・工業などの技術を学びに日本に来ている海外実習生のことで、ベトナムやインドネシアなど、アジアから来る方が多いです。

そのほかに、少数ですがインターナショナルスクールや私立高校で働くケースもあります。私立高校では、日本で進学を目指すために留学してきた生徒に対し、日本語を教えます。
このように、以前に比べて日本語教師の仕事は広がってきています。今までは日本語教師というと、「日本語学校」という選択肢が主なものでしたが、最近はいろんなところで日本語教師が活躍する場が広がってきています。

専任講師と非常勤講師は仕事内容に違いがあるのでしょうか?

関先生

関先生:
基本的には非常勤というのは、授業だけをやってもらい、専任というのは、幅広く色々な業務をやっていくということです。

非常勤は、授業のコマ数だけの契約ですので、授業だけに専念できます。日本語学校によってばらつきがあるので絶対とは言えませんが、基本的に事務などはありません。

非常勤講師は授業だけとは言え、宿題やテストなどの採点業務も仕事になります。以前は、採点業務はサービス残業みたいな形で、給料や手当がつかない場合が多かったですしそれが当たり前のような業界でしたが、最近の傾向として、事務で残ってる時間もコマ給とは別に事務給を出す学校が増えてきました。ここ2〜3年で、変わってきている実感があります。学習塾でも残業代不払いなどの問題がありましたが、日本語教師業界でも見直しの声が高まっているんです。

一方、専任講師は、月曜から金曜まで学校に常勤する、フルタイムのお仕事です。授業時間も毎日あります。授業時間以外は、学校の事務的なお仕事とか、教材作り、留学生たちのお世話などの仕事があります。学生管理といいますが、それには進学の指導、生活指導も含まれます。授業以外にこういった仕事があるのでフルタイムになります。

ですから、学校で授業の準備をする時間というのはあまりないので、授業に慣れている経験を積んだ先生に向いている仕事と言えます。

日本語教師はどんなキャリアが目指せますか?

関先生

関先生:
未経験から始めた場合、一般的には、まずは週に2日から3日の非常勤で始めて、授業に慣れてきた段階で選択肢が出てきます。

まず一つは、専任講師を目指すということ。もう一つは、授業のコマ数を増やすということです。

コマ数を増やすというのは、例えば掛け持ちです。いろんな学校で週5日を埋める。あるいはプライベートレッスンやグループレッスンで、夜の時間帯や朝の時間帯、土日などを埋めていく。コマ数を増やすことで収入を上げていくパターンです。

必ずしも非常勤講師から専任講師になるだけがキャリアアップというわけではないんですね。日本語教師というのは、多様な働き方ができるし、活躍できる場も広がってきているので、「どうなりたいか」「どうしたいか」という本人の意思が一番重要になってきます。

例えば、安定した収入がほしいとなれば専任を目指せばいいし、生徒の生活指導はあんまり向いてないなって人であれば、コマ数をたくさん持って授業に集中できます。ゆくゆくはもっと学校の中心として力を発揮したいというのであれば、主任を目指して専任講師になるとか、どのキャリアを選択しても正解なんです。

日本語教師のなにがきついの?

それでは、本題の日本語教師の「きつい」イメージについて質問です。
どういった点が「きつい」と言われる所以でしょうか?

関先生

関先生:
日本語教師のメインの業務、授業に関しては、他の仕事に比べて特別きついということもないと思うんですよね。他のどんな仕事でも大変なことってありますから。

日本語教師として一番大変だとされるのは、授業準備ではないでしょうか。

それこそ慣れてない先生が、「1日45分×4コマ」を任されるとしたら、教案を書いて、準備して、というのに何時間くらいかかると思いますか?授業時間の2倍なんてものではないんです。慣れてない先生であれば、10時間以上とか途方もない時間かけて作ることになると思います。授業準備というのはこだわろうと思えばどこまでも時間をかけられますからね。

そういう意味で言うと、駆け出しのころは授業準備にエネルギーを費やすと思います。皆さんがおっしゃる「きつい」っていうのはこれですね。そして授業準備に対しては、授業外の時間なので時給が出ないということも、新人教師にとっては辛いものだと思います。

でもこれは個人差がすごく出る部分でもあります。だからやってみないとわからないことでもあるんですよ。

最初の話に戻りますが、今はどこでどうやって教えるという選択肢があるので、例えばクラスレッスンがきついならば、プライベートレッスンにしてみよう、ということもできます。進学希望の学生に教えるのは合わないなと思えば、学生じゃない技能実習生を相手にしてみることもできます。

そういう意味では日本語教師の働き方が多様化してきたというのはありがたいですね。

日本語教師のお給料と就職事情は?

働くうえで重要な、給料について質問です。
日本語教師の給料は、とても低いと聞きますが、本当ですか?

関先生

関先生:
専任講師の給料はネットなどの求人票をみると、「20万円〜」などの最低給与額しか書いてないんですよね。これに、年齢とか経験とかを考慮して決まっていくので、もっと良い場合ももちろんあります。

しかし未経験の場合は一番下からになるかと思いますので、だいたい20万円以上くらい、大卒の初任給程度と思えばわかりやすいかと思います。ただし、給料というのは地域差が出ますので、日本語学校が多い東京は他の地域よりちょっと高い傾向にあります。

実際、東京近郊の非常勤の給料はわかりやすく単価が上がってます。例えば、私が東京に赴任してきたときから今の求人広告を参考にしてみますね。45分を1コマとして、平均が、2013年は1,568円、2016年は1,651円、2017年は1,780円。

つまり、20数年間上がらなかった給料が、ここ数年でぐっと上がってきているのです。待遇もかなり変わってきていて、先ほどの話にもあった、コマ給とは別に事務給などの手当てが出る学校もあります。

続いて、就職事情について教えてください。

未経験から日本語教師になった場合、非常勤で始めることがほとんどということですが、正社員である専任講師になることはできますか?

日本語教師は非常勤が多いので、希望しても専任講師になるのは狭き門なのではないでしょうか?

関先生

関先生:
まずは、専任でやっていきたいのかっていう自分の意思がありますよね。事務作業とか、進路指導、生活指導はわずらわしい、授業だけをガツガツやっていくという選択肢もありますから。抱えるコマ数を増やして非常勤として活躍したければ、経験も増えれば単価も上がってお給料も良くなっていくわけですし。

管轄省庁の方針で専任講師を増やそうという動きがありますから、日本語学校としても専任講師を増員している傾向があります。
若い人たちが長く働くため、キャリアを積んでいくためにも、やはり増やしていきたいんですね。ですから、日本語教師をはじめて半年〜1年というのは即戦力とはみなさずに、育てるという意識に変わってきている学校が増えてきています。

それこそ、わたしが日本語教師になった15年ほど前は、今とは全然事情が違いました。非常勤で週何日働くという、いわゆる下積み期間が3〜4年あるといわれていました。

当時は下積みを終えて専任を目指そうという人でも、2・3年経っても専任の声もかからないし、上も辞める人がいないから詰まってるし…、という状況で、現状に不安を抱えて他の業種へ移ってしまった人というのも少なからずいました。これが今までのパターンで、ネットでよく見かける状況ですよね。

今はかなり変わってきていて、3〜4年と言われていた下積み期間も、今では1〜2年と言われています。というのも、ここ数年でどの学校もワッと研修制度を始めるようになったんですよ。

留学生も増えているので当然日本語教師の数も足りてないんですよね。そうなると、経験の浅い先生も多くなってきますので、授業できるようになってもらうために研修を行うわけです。研修制度があるので、採用面接で模擬授業がきちんとできれば、少し研修すれば大丈夫とみなされて、未経験で専任講師になる場合もあります。

日本語学校が教師を「育てる」という意識を持ってる点が今までと大きく異なります。ただ、研修を行うのは専任講師なので、正直言うと専任講師の負担は少なからず増えているとは思います。

日本語教師の仕事がない、という情報をインターネットで見かけますが、日本語教師の求人は少ないのでしょうか?

関先生

関先生:
わたしが養成講座を出た15年前でいうと、日本語学校で求人情報を出しますと、50通くらいは応募があるような時代でした。1、2名の募集に対して50通の求人ですから、昔は日本語教師の仕事自体が少なかったんですね。日本語学校の数も今ほど多くなかったですし、学生も今ほどではなかったんです。先生方も同じ学校にずっといるわけですから、辞めない限りは新しい求人も出ないし、学生も急激に増えるわけでもなかったので。

今は、どこの日本語学校からも聞く話ですが、求人を出していても応募自体がほとんどないそうです。だから、お仕事自体はたくさんありますし、売り手市場ですね。

まとめ

以上のことを参考に日本語教師の『ネガティブなイメージ』と『実際のところ』を表でまとめてみました。

ネガティブな
イメージ
評価 実際のところ
体力面 人により感じ方は様々
一番大変なのは、授業を行うことより、授業準備。
駆け出し時は大変かもしれないが、それを超えれば大丈夫。
60代からでも始められるので、体力的にきついことはない。
給料面 単価は上昇中
専任:未経験の場合は大卒初任給程度から。
非常勤:年々上昇している。
採点のための残業は、手当がつく。
※給料は地域差がある。
未経験の採用 未経験者でも積極的に採用
日本語教師不足もあり、学校側は未経験者も積極的に採用。
そのため研修を行い、教師を「育てる」学校が増えた。
職の安定性 正社員である専任講師になりやすい
専任講師を増やそうとする動きがある。
若い人たちのキャリアを育てたい学校が増えている。
下積み期間の短縮化が進んでいる。
求人数 売り手市場
日本語教師の求人がないと言われていたのは過去の話。
留学生が増え、日本語学校も増えた今、求人は多い。
日本語学校以外にもビジネスマンや技能実習生などを
対象に教える仕事も増えている。

今回のインタビューで、日本語教師のネガティブなイメージの真相を聞くことができました。

多くのネガティブなイメージは、留学生や日本語学校の数が今ほど多くなかった、10〜20年程前の状況を反映しているようです。

大きな原因は、日本語教師の不足です。日本学生新機構で公開している外国人留学生在籍状況調査結果でも、2013年(平成25年)以降、留学生の数が急増しています。

このような状況下では、未経験でも日本語教師になるチャンスはたくさんあり、求人も好待遇になってきています。

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