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日本語能力試験とは?日本語学習者が受験する試験について詳しく知ろう!

更新日:2023/10/12

日本語能力試験とは?日本語学習者が受験する試験について詳しく知ろう!
Mikuさん

この記事を書いたのは

Miku
日本語教師養成課程で資格を取得し、日本語の指導歴は7年目。
学生時代はイギリスへの交換留学の経験もあり、卒業後は日本語教師として働きながら、フランスでワーキングホリデー留学と語学留学を経験。
現在はマルタ島在住で主にフリーランスで活動する傍ら、「日本語教師ナビ」のライターを務める。


日本語能力試験は、日本語学習者にとって、日本へ留学や移住をする上で非常に重要な試験です。
そのため、日本語教師は、日本語能力試験について深く理解しておく必要があります。

そこで今回は、実際に日本語能力試験の対策レッスンを行った私が、日本語能力試験について詳しく解説します。

結論をお伝えすると、「日本語能力試験」という試験は2種類ありますが、JLPTの方が一般的に利用されており合格すると、日本語学習者は留学や就職において、さまざまなメリットを受けられます。

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日本語能力試験とは

それでは、日本語能力試験について詳しく説明していきます。

日本語能力試験の概要

日本語能力試験(JLPT:Japanese-Language Proficiency Test)とは、国際交流基金と日本国際教育支援協会が、1984年から共同で実施している試験です。
毎年2回(7月と12月)、複数の選択肢から解答を選ぶマークシート方式で行われています。

日本語試験としては世界最大規模を誇り、2022年7月には世界52の国・地域と141都市で開催されました。
日本語能力試験は、日本語を母国語としない人を対象としており、N1〜N5までの5段階に分けて、受験者の日本語能力を公式に認定します。

合格率は、最も低いレベルであるN5では50〜60%程度最も高いレベルのN1では20〜30%程度となっています。

日本語能力試験の目的

日本語能力試験は、日本語を母国語としない外国人もしくは日本国籍保持者が、日本語をどのくらい正確かつ適切に理解・使用できるかを測定し、認定することを目的とします。

以前は、単純に日本語能力を測定するために受験する学習者がほとんどでしたが、海外における日本語学習者数の急増と、就職・留学・移住など受験目的の多様化を考慮して、2010年に大幅に改定されました。

現行の試験では、語彙や文法などの知識面だけではなく、日本語を使って何ができるのかというコミュニケーション能力も測定できるため、大学や企業などの幅広い機関で、正式な語学証明として利用されています。

日本語能力試験の出題内容

日本語能力試験は、言語知識(文字・語彙・文法)・読解・聴解の3つの科目で構成されています。
話す・書く科目の試験はありません。

言語知識では、日本語の文字・語彙・文法をどの程度知っているかを測ります。
読解・聴解では、身につけた言語知識を、実際の会話でどの程度使いこなせるのかを測ります。

大まかな出題内容は、以下の通りです。

N4〜N5 主に教室内で学ぶ基本的な日本語
N3 基本的な日本語
N1〜N2 生活の幅広い場面で使われる日本語

参考元 日本語能力試験(JLPT)「4つの特徴」

どのレベルも、言語知識(文字・語彙・文法)・読解が0〜120点、聴解が0~60点、総合得点0~180点で合否が判定されます。

受験者数の推移

国内外で大規模に実施されている日本語能力試験ですが、国内・海外ともに受験者数は年々増加傾向にあります。

コロナ前の2019年には、過去最多となる約116万人もの学習者が受験をしました。(JLPT「過去の試験データ」
コロナ禍の影響で2020年の受験者数は約37万人にまで落ちこみましたが、少しずつ回復しており、今後はさらに受験者数が増えていくと考えられています。

2018年に国際交流基金が実施した応募者の属性調査では、応募者の56.2%が小学生〜大学・大学院生までの若い世代となっています。
また、国別に見てみると、韓国や中国などの東アジアでの受験者が最も多く、その次にベトナムやタイなどの東南アジアの受験者が多い傾向があります。

日本語能力試験を受験するメリット

日本語を母国語としない外国人や日本国籍保持者が、日本語能力試験を受験するメリットは、主に以下のようなものがあります。

  • ・ 日本の大学・大学院への出願条件を満たせる
  • ・ 母国及び日本の企業で就職・昇給・昇格に有利になる
  • ・ 出入国管理上の優遇措置を受けられる(高度外国人材のポイント取得)
  • ・ 日本の中学校卒業程度認定試験で試験科目が一部免除になる
  • ・ 日本国内で医師などの国家試験の受験資格を得られる
  • ・ EPA(経済連携協定)に基づいた看護師・介護福祉の候補者として活動できる(インドネシア・フィリピン・ベトナムのみ)

このように、さまざまなメリットがありますが、進学や就職で有利になるために受験する学習者が多数を占めています。

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日本語能力試験のレベル別認定目安

日本語能力試験は、N1〜N5までの5段階に分けられていますが、以下では、レベル別に認定目安を解説していきます。
参考元 日本語能力試験(JLPT)「N1〜N5認定の目安

N5

N5の認定目安は、「基本的な日本語をある程度理解することができる」で、初対面の人に自己紹介をしたり、バスや電車の時刻表を見て理解したりすることができます。

<科目別の目安>

言語知識(文字・語彙・文法) ひらがな・カタカナ・漢字(約100字)・語彙(約800語)・初級文法
読解 定型文や初級文法で書かれた短い文章を理解できる
聴解 身の回りで使われる短い会話文をゆっくりであれば聞きとれる

N4

N4の認定目安は、「基本的な日本語を理解することができる」で、郵便局や駅で値段や時間を聞いたり、趣味について友達と会話をしたりすることができます。

<科目別の目安>

言語知識(文字・語彙・文法) ひらがな・カタカナ・漢字(約300字)・語彙(約1,500語)・初級文法
読解 初級文法で書かれた身近な事柄についての文章を理解できる
聴解 身の回りの話題についての会話文をややゆっくりであれば聞きとれる

N3

N3の認定目安は、「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」で、買いたい商品の内容をお店の人に詳しく聞いたり、週末の天気についてのニュースを理解して、そのことについて友達と話したりすることができます。

<科目別の目安>

言語知識(文字・語彙・文法) 漢字(約600字)・語彙(約3,000語)・敬語・基礎文法
読解 日常的な話題についての文章であれば、新聞などの少し硬い内容でも概ね理解できる
聴解 日常会話であれば、自然なスピードの会話を聞きとれる

N2

N2の認定目安は、「日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる」です。 新聞やニュースから得た情報についてディスカッションをしたり、簡単なビジネスメールや大学の論文を書いたりすることができます。 また、N2以上は、企業の採用条件や、大学・大学院の出願条件となっており、試験内容が難しくなります。

<科目別の目安>

言語知識(文字・語彙・文法) 漢字(約1,000字)・語彙(約6,000語)・敬語・上級文法
読解 幅広い話題の新聞・雑誌・評論文などで、論旨明快な文章を理解できる
聴解 幅広い話題の会話や少し複雑な内容のニュースを自然なスピードで聞きとり、理解できる

N1

N1の認定目安は、「幅広い場面で使われる日本語を理解することができる」で、大学の講義を理解して質問やディスカッションをしたり、日本の会社で同僚や上司と、比較的スムーズに会話をしたりすることができます。

<科目別の目安>

言語知識(文字・語彙・文法) 漢字(約2,000字)・語彙(約10,000語)・敬語・上級文法
読解 幅広い話題の新聞や評論文、抽象的な内容の文章を理解できる
聴解 幅広い話題のニュースや講義を自然なスピードで聞きとり、詳細を理解できる

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日本語能力試験の指導体験談

Mikuさん

Mikuさん:
私は現在、会話を中心とした日本語レッスンを行っていますが、学習者からの要望があれば、日本語能力試験の対策指導もしています。


私が指導する学習者はタイ人や中国人の割合が高く、日本の大学への出願や、日本での就職を目指す方がほとんどであるため、N1〜N3の試験対策をする場合が多いです。
N1〜N3では、コミュニケーション能力を測る問題が試験全体の3分の2を占めるので、言語知識の導入に加え、覚えた日本語をフリートークなどで使う練習もするように心がけています。


試験対策をしていて感じるのは、学習者が合格した日本語能力試験のレベルと、学習者の実際の日本語レベルは、一致しないケースが多いということです。
日本語能力試験は「話す・書く」能力を測るものではないため、N1に合格しても、複雑な内容の会話には対応できないという学習者もたくさんいます。


限られたレッスン時間で、そのようなギャップをどう埋めていくのか、という点に日本語能力試験の指導の難しさを感じています。


JPT(日本語能力試験)とは

日本語能力試験という名前の試験は、JLPTとJPTの2つが存在します。 こちらでは、JPTの概要と、JLPTとの違いについて説明します。

JPT(日本語能力試験)の概要

JPT(日本語能力試験)とは、Japanese Proficiency Testの略称で、日本語を母国語としない日本語学習者を対象に、日本語能力試験実施委員会が行っている試験です。

日本語のコミュニケーション能力をより細かく測定することを目的としており、日常会話からビジネス会話までの幅広いレベルに対応しています。

JLPTと同様に、出入国在留管理庁から正式な語学証明書として認められていて、大学や企業で広く利用されています。(高度外国人材のポイント加算では使用不可)

四肢択一式の試験で、読解(文字・語彙・文法含む)と聴解で構成されており、JLPTのように「話す・書く」科目はありません。

JLPT(日本語能力試験)との違い

JLPTとの大きな違いは、合否判定がなく、TOEICのように10〜990点の無段階評価となっている点です。
読解と聴解でそれぞれ100問ずつ出題され、試験問題構成は以下の通りになっています。

<科目別の目安>

読解 正答探し・誤文訂正・空欄埋め・読解
聴解 写真描写・質疑応答・会話文・説明文

参考元 日本語能力試験(JPT)「試験問題構成

JLPTとは異なり、年に12回実施されるので、最新の日本語能力を測定できます。
また、JPTはアジアを中心に行われており、特に韓国では大企業や公共機関における就職時の語学証明として広く利用されています。

JLPT(日本語能力試験)とのスコア比較

JLPTとJPTのスコアには、ある程度の相関性があると考えられており、特にN1〜N2の上級学習者の日本語能力を、より細かく測定できるという点では、優れているといえます。
尚、日本語教育機関への入学は、JPTで315点以上を取得することが条件となっています。

<科目別の目安>

JLPT JPT
N5 315点〜
N4 375点〜
N3 430点〜
N2 525点〜
N1 660点〜

参考元 日本語能力試験(JPT)「JLPTとの違い(レベル比較)

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まとめ

今回は、日本語能力試験の概要と、JPTとの違いについて詳しく解説しました。

JPTという日本語能力試験の利用範囲は、まだまだ限定的で、JLPTの受験をする日本語学習者がほとんどです。 JLPTはマークシート方式で、比較的取り組みやすい試験ではあるものの、2010年の大幅な改定によって、言語知識だけではなく、コミュニケーション能力も求められるようになりました。

N1〜N3に合格すると、学習者は進学や就職など、さまざまなメリットを享受できるため、日本語教師は日本語能力試験についての理解を深め、より効果的に指導していく必要がありそうです。

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