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公認日本語教師のパブリックコメントとは?寄せられた意見も紹介

更新日:2022/03/24

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公認日本語教師のパブリックコメントとは?寄せられた意見も紹介 

2021年に公認日本語教師のパブリックコメントが実施され、個人や団体から、1707項目・855件の意見が集まりました。そもそもパブリックコメントとはどのようなものでしょうか?

パブリックコメントを行う理由や、公認日本語教師のパブリックコメントの概要・寄せられた意見について詳しくご紹介します。

パブリックコメントとは

パブリックコメントとは、「意見公募制度」のことです。

国や省庁などの行政機関が公表した政策案に対し、国民から意見を募集する制度で、意思決定に至るまでの公平性や透明性を確保するために実施しています。

今回ご紹介する公認日本語教師のパブリックコメントは、文化審議会でまとめた日本語教師国家資格化の原案を国会審議に通す前に実施されました。

公認日本語教師のパブリックコメントの概要

2021年(令和3年)8月20日〜9月17日に実施された公認日本語教師パブリックコメントの概要は以下となります。

【告知・受付方法】
文化庁ホームページ、e-Gov※
※e-Gov(イーガブ)…行政のサービスや施策についての情報を発信しているデジタル庁管轄のサイト。パブリックコメントの意見提出や募集状況についての確認ができる。

【提出された意見数】
1707項目(意見者数 855件)

【意見者の内訳】
・個人:843件
・団体:12件

【募集意見の内容】
・日本語教師の国家資格化検討に至った背景について
・日本語教師の資格について(日本語教師の資格の目的や取得要件、試験内容や教育実習など)
・日本語教育機関の水準の維持向上を図るための仕組みについて(制度の目的や評価制度、日本語教育機関の基準など)
・全体に関する内容
・その他の内容

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日本語教師の資格に関するパブリックコメント

実際にパブリックコメントに寄せられた意見にはどのようなものがあるでしょうか?項目ごとにご紹介します。

資格の目的に関する意見

資格の目的について寄せられた意見としては、日本語教師の質と量の確保、国内外での有効範囲など、日本語教師がカバーすべき範囲や国家資格化するメリットを問う内容が中心となりました。

【意見概要】
・公認日本語教師のメリットが不明確。メリットがない場合、日本語教師を目指す人が減ってしまうのではないか。
・公認日本語教師を取得する対象者として、法務省告示校で勤務する日本語教師が想定されているが、初等教育から社会人教育まで多様に対応しなければならず、1つの資格ですべてをカバーすることは難しいのではないか。
・海外で教育する場合も通用する資格にすべき。

資格取得要件に関する意見

資格取得要件に関しては、外国籍の方が公認日本語教師を取得する場合の懸念点について意見が寄せられています。

【意見概要】
・年齢、国籍、母語を問わず公認日本語教師資格を取得できる意義は大きいが、実際に教育機関で採用されるのか。また、試験や教育実習などについて、日本人と同じ実施要項であるのも検討すべき案件。

試験内容と実施体制に関する意見

試験内容と実施体制に寄せられた意見は、幅広い内容のものが多く、現行資格試験との違いや近年の国内外の情勢に合わせた試験内容、試験の実施回数やオンライン上での試験申込・試験実施などを要望する回答がありました。

【意見概要】
・筆記試験の内容は、日本語教育能力検定試験とどう異なるのか。
・日本社会についての知見、日本語を学ぶ外国人の社会的背景の理解は必須であり、教育学や社会科学を試験に盛り込むべき。
また、授業の実践力についても評価できる内容が望ましい。
・受験機会が年1回以上では不足。2回以上にすべき。
また、受験会場も全都道府県に1ヶ所以上設置されるのが望ましく、海外でも試験や教育実習を受けられる環境を。
・申込や試験実施をデジタル対応で行い、手続きを簡素化すべき。

現行の「日本語教育能力検定試験」については、下記の関連記事をご覧ください。
関連記事
【2022(令和4)年最新版】「日本語教育能力検定試験」とは?お役立ち情報まとめ

試験実施機関と指定登録機関に求められる役割に関する意見

試験実施機関と指定登録機関に求められる役割についての意見は、試験の公正性や信頼性を確保するための要望が中心となっています。

【意見概要】
・試験委員の適正審査及び審査方法についても検討が必要。また、教育現場の現状を熟知している試験委員を選出すべき。
・試験実施機関や登録機関について、資格の信頼性が継続できるように、審議会を設置して、監査と検証を行うのが望ましい。

教育実習に関する意見

教育実習については意見数が大変多く、教育実習の内容と質を問う意見が主となっています。
また、実習時に発生する交通費などの経費助成について言及する意見も寄せられました。

【意見概要】
・教壇での指導方法だけでなく、オンラインでの指導方法の実習も取り入れるべき。
・最新の知見が反映される教育実習を期待。
・教育実習生受け入れ先の整備も重要。都市と地方の格差が出ないことを希望。
・実習時の移動費や実習費用の負担が大きいため、助成制度の検討が望まれる。
・学習者は多様であることから、留学生向け・就労者向けなどコース別に分かれた実習があると望ましい。
・教育実習指導者は実務経験豊富な日本語教師であることが望ましく、
指導力のばらつきをなくすためにも、ガイドラインや研修プログラムの策定を検討すべき。

指定日本語教師養成機関に関する意見

指定日本語教師養成機関に関しては、公認日本語教師志望の海外在住者にも対応できる養成機関の設立、養成機関運営についての要望、養成機関における指導者についてなどの意見が寄せられています。

【意見概要】
・海外在住の公認日本語教師取得希望者に向けて、在外指定日本語教師養成機関やオンライン対応の養成機関が設立されることが望ましい。
・指定日本語教師養成機関の適切な運営のために、定期的な監査と評価及び実地調査の検討が必要。
・現在の日本語教師養成機関が指定機関としての要件に満たない場合、認可に必要な要件を揃えるための経過措置の配慮が望まれる。
・指定日本語教師養成機関の指導者は、幅広い知識を持ち、日本語教師としても豊富な経験がある者が望ましい。

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試験免除項目と教育実習の免除に関する意見

試験免除項目と教育実習の免除に関しては、筆記試験について、日本語教育能力検定試験合格者の試験項目免除を希望する意見と、全員受験を希望する意見に別れました。

また、指定日本語教師養成機関における単位取得者の試験等一部免除について、大学での主専攻(45単位以上)と専門学校での副専攻(26単位以上)の差別化が必要という意見も挙げられています。

【意見概要】
・公認日本語教師の筆記試験は、現行の日本語教育能力検定試験と類似することが考えられる。現行試験の合格者につい免除されることが望ましい。
・共通した一つの試験により能力・技能の同一基準が保証される。公認日本語教師資格の質を担保するためにも、全員一律受験を行うべきと考える。
・指定日本語教育機関の認定や試験等の一部免除については、45単位以上(主専攻)と26単位以上(副専攻)との差別化を行い、45単位以上(主専攻)が制度上認定されることが望ましい。

更新講習に関する意見

更新講習についても多数の意見が寄せられました。日本語教師全体のスキルアップのためにも、更新講習を行うべきという肯定的意見が多いものの、講習を受けるタイミングや講習を受ける負担についての配慮が必要という意見が挙がっています。

【意見概要】
・現職の日本語教師の活用が急がれる。特に、日本語教師の1/3を占める非常勤講師の成長のためにも、講習の検討は必要。
・更新講習期間の労働時間の短縮やオンライン受講できる環境整備など、負担軽減が望まれる。
・教員免許の更新制度が廃止となることもあり、公認日本語教師の更新講習を制度化しない方針には賛同。しかし、資質向上のためには、日本語教師自身が学び続ける意識を持てる環境づくりが必要。
・居住地域による受講機会の格差を小さくする制度設計にしてほしい。
・更新講習制度がない場合、個々の日本語教師任せで、能力の維持・向上を期待することは難しいと考えられる。研修を充実させ、キャリアに合わせ計画的に研修を受けられる制度を作ることが望ましい。

学位に関する意見

学位に関しての意見は、学士以上ないし、学士相当の能力がある者を資格取得要件とすべきという内容が多く寄せられました。その他、学士以上の要件に満たない場合は、準資格を制度化し、認定するという提案意見も挙げられています。

【意見概要】
・海外では、大卒を職業経歴や外国籍人材就労の必須条件にしているケースがある。就労ビザ取得には、学位が判断基準となる国もあるため、海外でも活躍できる日本語教師を輩出するためには、大卒が最低条件と考えられる。
・日本語教師が社会的認知を得るためにも、公認日本語教師試験は大卒程度の試験であること、学士力相当の力を求められることを明示すべき。
・学士以上の要件に満たない場合、「準資格」として認定することが望ましい。公認日本語教師資格と準資格で教育対象の役割分担を行うのがよいのでは。

現職者(経過措置対象者)の資格取得方法に関する意見

現職者(経過措置対象者)の資格取得方法については、まずは現職者の定義を明確にすることを前提とし、経過措置のあり方を問う意見が多くを占めました。

【意見概要】
・「現職」の定義を明確にすべき。現在日本語教師の職から離れているが、法務省告示基準の教員要件を満たすという場合も対象に含まれるのか。
・法務省告示基準の教員要件を満たす現職中の日本語教師に関しては、新たに試験を実施するのではなく、研修を課すなどして、公認日本語教師に移行できることが望ましい。日本語教師数は不足しているため、負担軽減が求められる。
・「質が担保されている機関で一定年数以上働く等」とあるが、日本語教師は、専任・常勤・非常勤など様々な雇用形態で働く者が多い。1つの機関での勤務年数や雇用形態で区別するのではなく、総合的に合算した授業時間数や業績などで判断されるべき。

公認日本語教師についてその他の意見

公認日本語教師についてのその他の意見としては、資格制度以外にも、人材確保と定着化を図るために、資格取得後のキャリア形成や、専門職としての報酬についての議論も必要という内容が見られました。

【意見概要】
・地域の日本語教室などはボランティアが活動しており、日本人なら誰でも教えられるといった誤った認識がある。日本語教師の待遇が悪い要因の1つであり、専門性の高い職業であるという認知度向上や専門人材への対価を保証できる制度の検討が望まれる。
・教育の質の保証や日本語教師の価値を理解するために、日本語教育機関運営者についても、公認日本語教師資格取得を必須とするべき。

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公認日本語教師以外についてのパブリックコメント

公認日本語教師のパブリックコメントの他、日本語教育機関の水準維持向上を図るための仕組みに関するパブリックコメントなどが併せて実施されました。

日本語教育機関の水準維持向上を図るための仕組みに関する意見

日本語教育機関の範囲や類型、制度の詳細についての意見が寄せられました。日本語教育機関が国内外で幅広く認知されるための制度づくりに関する意見が多い傾向となりました。

【意見概要】
・海外においても日本語教育機関が公的、社会的に認知される基準を設けるべき。
・今回の報告には児童や生徒の日本語教育が含まれていない。公教育では教員数が不足しているため、公認日本語教師が公教育の場で活躍できるようになることを期待する。
・日本語教育を実施する全ての機関を日本語教育機関として認定すべき。
・「優良な日本語教育機関の拡充を目的とした優良機関評価制度」は、定義や基準を具体的に検討すべきであり、適切ではないと判断された機関には何らかの罰則規定を設けるべき。
・日本語教育の質と維持の向上のため、ICT教育研修やデジタル機材の無償貸出などの支援があることが望ましい。
・日本語学習者の金銭的負担を軽減できる制度があると望ましい。

全体、その他に関する意見

日本語教師及び日本語教育についての全体的な意見なども寄せられました。
日本語教育の現場の意見や実態を把握してから各制度化を進めてほしいという意見や、ボランティアが主体となっている地域日本語教育に対し、自治体からの支援を要望する声が挙がっています。

【意見概要】
・日本語教育の現状について調査すべき。日本語学習者の目的は多様であり、現場の意見や実態を把握した上で制度構築を。
・今後検討とされている部分の具体的スケジュールを教えてほしい。
・ボランティアが運営する地域日本語教室の存在は大きく、各自治体から公的な認定を行うことが望ましい。

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まとめ

公認日本語教師のパブリックコメントは、
・現行の日本語教師資格との差異の明確化
・現職日本語教師の資格取得のあり方
・試験内容や教育実習がその時々の日本語教育の情勢に合わせたもの、かつ公平性の高いものであること
以上に関連した要望が多い傾向が見られます。

また、国家資格化を機に、日本語教師をより専門性の高い職種にしたいという要望が多いことも明らかになりました。

例として、制度化見送りの方向で動いている更新講習については、日本語教師が常に最新のスキルや知識を得られるよう、必要なタイミングで講習や研修があるべきという意見が多く見られました。

他にも、資格取得要件に学位不問との有識者見解が示されている中、学士及び学士相当の能力が必要という意見が多く寄せられています。公認日本語教師の施行に向け、現場の意見を色濃く反映しているパブリックコメントがどのように取り入れられるのか、注目すべき内容といえるでしょう。

尚、現段階の検討状況として、公認日本語教師の施行は2024年以降を予定しています。しかしながら、決定までにはまだ時間がかかることが予想されており、施行に至った場合でも、現行の日本語教師資格に対し、経過措置がある見込みです。

少しでも早く日本語教師としての経験や実績を積みたい方は、今のうちに資格を取得しておくことをおすすめします。

公認日本語教師について詳しくは、下記の記事をご覧ください。

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参考サイト
e-Govポータル
「日本語教育の推進のための仕組みについて(報告)」に対する国民からの意見募集の結果の概要(文化庁)

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